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2008年2月20日 (水)

お客様に突っ込まれる毎日

 

 同業他社さんの影響で、豚丼オーダーの際に「とんどん」と注文されるお客さんが結構な数いらっしゃる。別に間違いではない。吉野家での正式呼称が「ぶたどん」なだけで、意味さえ通じるのならさしたる問題はないのである。

 

 問題なのは何か。それはカウンターからバックルーム(厨房ね)にオーダーを通すときである。お客さんから「とんどん」でお伺いしていようが、ピーク時の混乱を避けるために常にオーダー用語は「ぶたどん○丁」なのだ。これは意図せずにお客さんに恥をかかすことになっていないか、それが心配な事がある。

 

 「豚鮭定食」もそうだ。正確には「ぶたしゃけ」なのだが、よく「とんしゃけ」と注文されるお客さんがおられる。『牛丼は音読みなのに何で豚丼は「ぶた」なんだ』と突っ込まれでもしたらもはや説明できる領域を超えている。そうなったらもう謝るしかない。

 

 深夜は店員の休憩の関係でひとりで運営する時間帯があるので、その際はわざわざオーダーを通す必要もない。このときは楽なのだ。「とんしゃけ」と通されても「わかりました」で返せるからだ。もしくは「ごはんの大きさは並でよろしいですか」とワンクッション置くことでオーダー復唱をうやむやにする事も可能だ。会計の際も「××しゃけ定食おひとつで490円です」と前半を濁すことで誤魔化せば問題ない(それはそれで問題か)。

 

 そうそう、「よろしいですか」の言葉遣いも努々気をつけねばならない。

 

 若い子はとかく「よろしかったでしょうか」と過去完了形にしたがるが、これは敬語としては間違い(理想は「よろしいでしょうか」らしいが、ハイアットはもう少し距離を縮めて「よろしいですか」を使用している)。「○○になります」といった誤用もよく聞くがこれも止めた方がよい。駅前の深夜は、こんな言葉遣いひとつで逆上して警察沙汰になる事もあるのだ(むろんそういった客はほんの一部で、そういう人は大抵泥酔しているか暴力団関係者で目が多少イッてる)。

 

 

 先日、後輩を代行教育している時にも接客用語を注意した。

 

 吉野家では5000円札、10000円札などの高額紙幣はレジで直接会計せずにいったんバックルームで両替をしてもらうのだが(レジ内に高額紙幣を貯めない→強盗対策)、その時にその後輩がお客様に言った言葉が『両替のお客様 少々お待ちください』だったので思わず注意した。

 

 「そういう場合は『両替をお待ちのお客様』だ。『両替のお客様』『お弁当のお客様』は失礼だよ。物じゃないんだから」

 

 一見こまかく聞こえるかもしれないが、これはとても重要なポイントで、前述の通り、過去にはそれが原因で警察を呼ぶ羽目になってしまった事もあるので決して軽視できないのだ(そもそも駅前店や繁華街にはそういうお客さんの割合が多い)。先月も店員が客のチンピラに顔面を殴られて警察沙汰になっているぐらいだから。

 

 

 吉野家の店員は『キャスト』と呼ばれるぐらいなのだから、常に人の目を気にして円滑で清廉、活気ある接客を志さねばならない。学生キャストが多いせいかイチから教育していかねばならないのが悩みの種でもある。

 

 朝方によく来られるお婆ちゃんと雑談をする。常連さんあっての運営でもあるので、支障がない程度にそういったコミュニケーションも必要なので、他にお客さんがいない場合はバンバンしゃべる。

 

 「お婆ちゃん、まだまだ寒いからお体に気をつけてくださいね」

 「ありがとうございます。あなたも気をつけてね」

 「そうなんですよ、万一風邪を引いて、休むに休めない場合に無理に出勤してお客様に感染でもしたらと思うと」

 

 そしたらお婆ちゃんふふふと笑って

 

 「それは気ぃ遣いすぎ」

 

 接客業の難しいところではある。

 

 

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